税込で25,200円。買うのに若干の逡巡があったが、思い切って購入。志ん朝のCDは、1981年4月の『志ん朝七夜』とその前後の時代を中心に、33枚リリースされている。今回のセットは、1966年〜1995年の時代からのセレクションで、既に発売されていた頃よりも若い時代のものに加え、逆にCDとしてはあまり数が出ていなかった1980年代後半から1990年代の高座を、『初出し』した形。
「五人廻し」「片棒」「野晒し」「幾代餅」「紙入れ」「妾馬」などの今までCDで聴くことの出来なかった演目が陽の目を見たのは嬉しい限り。ジグソーパズルの欠けていたピースが埋められていくような快感だ。
例えば、大阪からの出張の帰り、新大阪駅で缶ビールと簡単なつまみを購入。仕事の頭を切り替え、新幹線の自分の席につき、ビールを飲みながら、今回のCDを聴く。天下の志ん朝が時空を超えて、自分だけのために新幹線内で独演会をやってくれる。新幹線は走る、あわせて志ん朝の落語「五人廻し」の“吉原縁起の啖呵”も疾走する。ドライブ感、抜群である。まさに至福の瞬間、豊穣なる時間である。最高の贅沢だ。この瞬間、25,200円も高くはないな、と感じる自分がいた。志ん朝の落語に元気をもらい、また働こうと気合を入れ直す。‘おあし’は働けばまた稼げる(笑)