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15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「血」の呪いと、新たな誓い,
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レビュー対象商品: 忍ぶ川 (新潮文庫) (文庫)
六部作になっており、表題作「忍ぶ川」は、結婚を考える男性の自らの「血」ののろいを、相手に伝えることから始まる。卒論を控えた大学生である主人公が(続編の「初夜」で早稲田大学の学生とわかる)小料理屋「忍ぶ川」の店員志乃に、 郷里の兄弟たちが神経薄弱の呪いを受け、自殺を図っていることを 告げる。 「初夜」では、彼らが夫婦として、子供を生むということ、すなわち自らののろわれた遺伝子を引き継ぐ存在を生み出す恐怖ということに対して、主人公が真っ向から向かう。 彼(おそらく三浦哲郎本人の回想に近い)が血液の因縁から解放されたのは、新たな自分の血を生み出すことだったのだろう。 夫婦は、二度目の受胎で出産を決意し、将来への希望を見出す。 全体に明るい作品ではないが、将来への希望を常に持つことのできる、 秀作だと思う。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
東北人ならこの情景が理解できる,
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レビュー対象商品: 忍ぶ川 (新潮文庫) (文庫)
三浦哲郎の「忍ぶ川」を読了。東北人なら皮膚感覚で理解できる情景が広がる。東北の大地とその気候ではぐくまれた人間の根本がしっかりと書き込まれている。やはり秀逸なのは表題作。登場する女性、志乃が素晴らしいのである。男性の理想の女性像を重ね合わせれば浮かび上がってくる人物なのである。そして気持ちも良い。この作品は志乃の素晴らしさに引っ張られている主人公という構図である。東北の田舎町の実家に帰ったときの志乃の行動も胸を打つ。読者は暖かい気持ちにさせられるのである。そしてラスト。志乃の喜びと素直さで物語が明るく終わる。素晴らしい作品である。 あと最後に収められた「驢馬」も私の心を打った。非常に悲しい物語であるが、考えさせられる作品だ。 短編が6編収められているが、どれも素晴らしく、読み応えのある作品ばかりである。
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
出自への葛藤が作品を・・・,
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レビュー対象商品: 忍ぶ川 (新潮文庫) (文庫)
8月に79歳で亡くなった作家の芥川受賞作を読んでみた。7つの短編よりなる。作者には3人の姉と2人の兄がいたが、作者6歳ごろのことだが、次姉が津軽海峡の連絡船から入水、次いで長兄が失踪、長姉が服毒死そして次兄が失踪し、作者と先天的に目が不自由な姉が残される。 幼いゆえに親はこれらの事を隠すが、近所の子にからかわれ真相を知り、死を恥と思うようになる。その後床の上でのまともな?父の死に会い、葛藤が解けてゆく過程が分かるような気がする。 「忍ぶ川」はこれらの事を基にして書かれ、志乃という女性を妻とする物語だが、続く「初夜」「帰郷」「團欒」「恥の譜」「幻燈畫集」もその流れの作品で、「驢馬」だけが違っている。 作者は「忍ぶ川」だけで、他は止めておけばよかったといっていたらしく「忍ぶ川」だけで、後は読まないほうがという人もいるが、私はどの作品も丁寧で行き届いた独特な叙述が、読んでいて心地よかった。 3月に琴に生きた目の不自由な姉が、一人暮らしの東北で孤独死を近所の人に発見された。この姉を書きたいとの念願は果たされなかった。次は不幸な兄や姉を描いたという「白夜を旅する人々」を読んでみたい。
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