忍法帖シリーズにはどの作品にもある程度テーマ性があり、そのテーマに基づいて書かれている作品が多いと思います。 例えば「忍法忠臣蔵」は忠臣蔵のストーリーを基に忠義と反骨を。「風来忍法帖」では山田風太郎らしく「七人の侍」的に忠義と愛を描いているように思います。忍法帖シリーズが一括して貫かれているテーマは、大切なものを、または自分を亡くしてでも国あるいは人に尽くすという忠義、自己犠牲の精神で、その結末には誰もが哀愁を感じえずにはいられれません。
本作はその自己犠牲という忍法帖シリーズの根幹的なテーマに真正面から挑んだ作品だと思います。本文中に出てくる、「大儀親を滅す」という言葉は忍法帖シリーズの根幹をなしているのではないかと。本作は傑作というよりも、「重要作」といってもよいと思います。 とりあえず、忍法帖好きは必読です。