必殺シリーズの記念すべき第一作「必殺仕掛人」。この作品、一般には池波正太郎氏の「仕掛人・藤枝梅安」シリーズが原作だと思われていますが、正確には少し違います。企画時点では、梅安シリーズに先行して発表された、江戸暗黒街の住人をテーマにした短編集「殺しの掟」(表題作ほかに西村左内が登場)をベースに、当時、短編二本が発表されたばかりだった梅安シリーズの主人公、藤枝梅安をリミックスした作品だったのです。
そのため、本BOX収録の初期編では、比較的、西村左内が中心のエピソードが多く、また原作では梅安の相棒である彦次郎、後に登場する小杉十五郎といった人物がオミットされているのは残念ですが、その分、左内と梅安という二人の主人公(原作にはこの二人の競演はありません!)に、腕は立つが殺しの意義に思い悩む生真面目な武士、現実家の享楽主義者で徹底したプロの殺し屋、といった、独自のアレンジによる対照的な人物造形が成され、時に語らい、時に反目するなど、ドラマに深みを増す工夫がなされています。
このあたりの人物設定の巧みさは、後に、中村主水を筆頭に、念仏の鉄、糸井貢、市松など、数々の名殺し屋キャラを生み出すスタッフの面目躍如といえるでしょう。