物語というキーワードを通して心理臨床について解説された著書。理論に基づく臨床心理学ではなく、データに基づく臨床心理学を提案し、その基礎を来談者の「語り」に置いている。来談者の物語には「語りとしての物語」「劇としての物語」「心理臨床としての物語」に分けることができ、それに対して心理臨床家が介入する方法として「診る」「観る」「訊く」「聴く」「読む」を挙げている。中でも著者は「見立てる」ということに対してかなり重要視しているようである。
本書では治療構造内での閉じられた心理臨床だけでなく、社会との接点を重視した開かれた心理臨床をも包含しており、全体的なケースマネジメントからシステムマネジメントすなわちコンサルテーション・オーガナイズを臨床心理学教育に必要なものとしてあげている。