私は仏教と心理療法に関心があります。本書を読んで、印象深かった点を二つ述べてみたいと
思う。
ひとつは、河合氏は道(タオ)の状態でいる姿勢を保つことを理想としていること。
ユングが中国の雨乞い師の逸話に注目していたように、氏もそれを重視し、自らをそれに近づ
こうとする。その場合、クライアントにも道の状態が生じることが多くなるという。道とは、
自然治癒力を意味する。カウンセラーは、クライアントの自然治癒力に信頼をおく。カウンセ
ラーが治すのではなく、クライアントの自然に治っていくという。
もうひとつは、重症な統合失調症のクライアントがお寺ですごしているうちに、奇跡的な
回復を得て、日常に戻っていった。その後、しばらくして、そこの住職にお礼をしたいという
ことで、会うことになるが結果的に悪い結果となってしまったことが述べられている。なぜ、
そのようになったか。それは本書を読んでください。
宗教、自然治癒力、人間、治療的枠組みについて、考えさせられた。