海外の心理学テキストには、最新の話題が多く取り入れられ、かつ、図や表や写真が多く載せられている「魅力的な」ものが多かった。それに対して、日本語のテキストは、どれを見ても似たりよったりだったり、また、最新の話題を無理に取り入れたために「はずせない」話題が、大胆にもカットされているものが多かった。その原因の一つは、「心理学」テキストは半期の一般教養の心理学で使われることを前提に2500円前後、250ページ前後に押さえることが要求されたからである。このような条件では上記のようなパタンのかわりばえのしないものしかできないのである。しかし、この本は600ページ近い本文としっかりとした専門家の著者たちによって、海外のテキストに負けないものとなっている。そのような意味では、日本初の本格的テキストといえるであろう。話題も最新のものまで取り上げられ、かつ、あまりにも古典的すぎて心理学者も誰も知らない(だけどなぜか、従来の教科書には載っている)ような概念はあっさりと整理されている。今後、本格的に心理学を学ぶすべての学生、および、心理学に少しでも興味をもって+αを知りたい他学科の学生、教養人にとって、この本は大きな存在となるであろう。また、進学希望者、公務員志望者の基本書としても使用できる。難は特にないが、今後は、海外のテキストのようにCDROMによるビジュアル教材の提供、教師用のマニュアル、インターネットリンク、ワークブック、などを付加して充実させていって欲しい。