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24 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
心の時代をリアルにみつめて,
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レビュー対象商品: 心理学化する社会―なぜ、トラウマと癒しが求められるのか (単行本)
著者はバランスのとれた頭のよい人だなあ、とまず思った。心理学・精神分析的な発想の現代社会における流行、その意義と問題点の構図を、ほとんど感動するほど明確にしめしてくれる。もはや「トラウマ抜きでは成立しがたくなった」ポップ・カルチャー(映画と小説が主)の分析からはじまって、より直接的なカウンセリングの現場や「凶悪」な事件報道における「心の専門家」たちの位置づけを批判的に問う。他方で、著者と似た主張をしつつも極端な心理学化批判の論説を展開する小沢牧子氏を紳士的に諌め、さらに、むしろ現在は問題を「脳」に還元する動向の方が危険かもしれないと、一定の留保を加えることも忘れていない。巻末の宮崎哲弥氏(精神分析に敵対的な立場)との対談もおもしろい。著者は、それでもなお精神分析を現代に活かしていくために、自分はラカンの倫理的な理論を精緻化して応用していきたい、と最後に宣言する。「いかなる幻想の超越性をも認めない」ラカンの思想こそが、欲望が充足されたという錯覚におちいってどんずまりになることを回避し、心理学化の風潮を相対化するための大いなる支えになるのだ、と。
12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「心の病」という病,
By mitz_orz (新潟市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 心理学化する社会―なぜ、トラウマと癒しが求められるのか (単行本)
斎藤環氏について語るまでもない、今をときめく精神科医…というよりは、もう評論家といったほうがいいのかもしれない。ミーハーだけれども僕は嫌いじゃありません。本書では「心理学化」とは銘打ってあるものの、精神分析、臨床心理学、犯罪心理学などをひっくるめて、色々な出来事を「心」のせいにしてしまうという現象のことをさしている。例えば、なんでも「トラウマ」のせいにしてしまう風潮、ロジャース心理学派のいい加減さ、メディアに登場する「心」のコメンテーターと飛び交うあやしげな心理学用語、などなど。 その一方で「ゲーム脳」のような根拠のない器質原因論にも批判を加えているし、生物学主義にも懐疑的。 要は、「なんでも『脳』のせいにしたり、『心』のせいにしたりするのは視野が狭いし、不誠実なんじゃないの?」っていうことを筆者はいいたいんじゃないだろうか。ある学者がいったように、あらゆる科学には「反証可能性」が絶対必要なわけだし、そのためには根拠にもとづいた検証が必要なわけだし、そういった誠実さを欠いた人たちに対して筆者は反対表明しているんだと個人的には思う。 また、筆者は一連の現象をなるべく平易な文章で伝えようとしているし、内容は明快だし、根拠のない論は展開しないので説得力がある。精神分析が万能ではない(むしろ不可能性である)ことも認識しているし、牽強付会な言論人ではないのである程度信頼も置けるし、批判もできる。 でも、そんな筆者だからこそ、強い、ソリッドな言論を求める人には、この本はあまり向かないんじゃないかと思ったりもする。
18 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
精神分析のニューエイジ,
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レビュー対象商品: 心理学化する社会―なぜ、トラウマと癒しが求められるのか (単行本)
サブカルチャーや「ひきこもり」を中心に日本の社会心理を分析する著者の意欲作。青少年の犯罪は世界でも最低レベルであること、30年前の半分以下であること、などデータに元ずく論点は一読の価値あり。不可解な事件が起こるたびにいつものしたり顔の精神科医に、マスコミの(フロイト流)幼児期のトラウマをコメントさせるワンパターンさにうんざりしている向きにお勧めだが、後半部分はやや抽象的表現が多く難解。それでも精神科医や臨床心理士などへ過剰な期待をするひ弱な人々への警笛にもなってはいる。
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