作者が18歳の時に書いた処女作。ニューヨークの巨大墓地を舞台に、生と死の意味、主人公とも言える"霊守"の中年男の再生を描いた作品。都会派ファンタジーと分類されるようだが、静謐感に包まれた文章は高い文学性を感じさせる。
主人公は、死んでも成仏できない霊の話相手を20年近く続けている。その代わり、人間とは顔を合わせない。怨み、後悔等のため成仏できない霊も哀れだが、霊だけとしか対峙できない主人公も哀れを誘う。そこへ、墓参りに霊に係る中年女性が現れて主人公は顔を合わせてしまう。そして、二人の間には...。もう一つ、「Boy Meets Girl」のペアが出て来るが、あくまで静かな進行である。主人公と会話をしていた霊達はやがて言葉も弱々しくなって、遂には旅立って行く。切ない。主人公の再生は希望を感じさせるものだが、全体として物語を支配するのは死である。青春時代に"死"について考えた経験がある方は多いと思うが、作者は巧みにそれを物語に昇華している。テーマ上、物語に起伏がある訳ではないが、思い付きをそのまま綴っている訳ではなく、構成を良く練っていると思う。
青春文学と言うには余りにも大人めいた視点で、生と死の問題を真摯に描いた静謐感溢れる秀作。