ヒマラヤ秘教のヨガを極めたという著者が、「心のとらわれを外して幸せになる」というテーマで、心の問題がなぜ起こるのか、過去のカルマの影響、神や霊や死後の世界、瞑想の重要性と危険性、指導者の重要性などについて、解説した本です。
インドの護摩焚き、イニシエーション、マスターからの祝福といった伝統的な手法に、スピリチュアル本では定番の過去世、天使、守護霊、オーラ、祈りについても解説があります。専門用語も多いですが、平易な言葉で語られているため、わかりやすいと思います。究極のサマディを体験し、真理のすべてを理解したというだけあって、理解の深さを感じさせ、説得力もあります。
著者のヨガ瞑想本の中で、本書は宗教色が最も強いものです。ヨガの八段階や瞑想法の解説もありますが、ヨガ瞑想の実用書としては物足りず、宗教書・人生訓と考えれば、示唆深い内容が多く、全体像の理解にはよいと思います。著者のサマディ体験の記述も、短いながら貴重な情報が詰まっています。
ただ、読者がその境地に至るには、自分の内側を見つめて深めるという方向性と、神やマスターの導きが不可欠という方向性とが混在して、読者に混乱や疑問を生じさせやすいと思えます。
本書では、「ほとんどの霊能者や瞑想指導者は、言うことが事実かどうか証明できず、マインドコントロールの恐れもある。そのような人に依存せず、自分の内側を見つめる瞑想でとらわれを外す必要がある。筆者の教えは本当の自己実現に導くものだ」とされています。
しかしその筆者の体験や教えの正当性を証明するために、自らの権威を高める記述は、従来の著書に比べても増えているように思えます。
例えば、師であるハリババの尊称や実質的後見人であるパイロットババの肩書きや推薦文が加わったり、神の祝福とヒマラヤ聖者の祝福は等しく、筆者はそのヒマラヤ聖者であるとされたり、著者を賞賛する信者らしい方の体験文が掲載されたり。
自己実現のために依存や執着を戒める一方で、マスターである著者への依存を招きかねない記述が多い点は、注意が必要です。
この本を読んで、著者に依存する人、反発する人、自分の内側に目を向ける人、いろいろ分かれると考えられるだけに、自分が何に反応するか確認できる一冊でもあると思います。