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心の砕ける音 (文春文庫)
 
 

心の砕ける音 (文春文庫) [文庫]

トマス・H. クック , Thomas H. Cook , 村松 潔
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

血とバラの中で死んでいた弟、その死にとり憑かれた兄。兄弟の運命をかえた謎の女……。クックが深く静かに訴えかけるせつない物語

内容(「BOOK」データベースより)

ロマンチストの弟は「運命の女」がきっといると信じていた。リアリストの兄はそんな女がいるはずはないと思っていた。美しく謎めいた女が兄弟の住む小さな町に現れたとき、ふたりはたしかに「運命の女」にめぐりあったのだったが…。クックがミステリを超えて、またひとつ美しくも悲しい物語を紡ぎだした。

登録情報

  • 文庫: 398ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2001/09)
  • ISBN-10: 4167527847
  • ISBN-13: 978-4167527846
  • 発売日: 2001/09
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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17 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 「記憶シリーズ」4部作がお好きな人には絶対のオススメ!, 2001/9/18
レビュー対象商品: 心の砕ける音 (文春文庫) (文庫)
 クックの"記憶"シリーズは、過去の記憶に縛られる人間の切なさが心に残る作品だった。本作は「~の記憶」とは銘打たれてはいないが、その語り口は"記憶"シリーズと共通している。やはり過去に暗い陰のある人物をめぐる物語だ。内省的で現実的な性格の主人公と直感的でロマンチストな性格の弟。弟は母に愛され、自分は愛されていないとて感じている主人公。なにもかもが対照的な兄弟の前に一人の女が現れる。どこか陰のあるその女は、2人にとって「運命の女」となっていく。ミステリとしては「運命の女」の過去の謎とそれを明らかにしていく過程がメインとなるのだろうが、本作の読みどころは主人公の内面を細やかに丁寧に書いているところだろう。現実的と自分では思っていた主人公が、「運!命の女」との出会ったことで心が変化していく様子が描かれていく。ミステリの重点を"人の過去"から"人の心"に移している点が、"記憶"シリーズとの違いになっている。そして、クライマックスの主人公が「心が砕ける音」を聞く場面。それまで丹念に描いていた主人公の内面を、ここではあえて描かず情景描写にとどめている。読者に様々な受け止め方ができるようにしているわけで、このラストシーンについて他の誰かと語り合いたくなった。最後にこうした場面をもってきたのも、前作までとの大きな違いだろう。じっくりと味わって読みたい一冊だ。
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 ずっと心に残る読後感・・・。弟の死体を残し、消えた女を追う兄のストーリー, 2003/12/9
By 
yuishi (千葉県) - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)    (トップ500レビュアー)   
レビュー対象商品: 心の砕ける音 (文春文庫) (文庫)
読み終わった後、数日たってもまた思い出し考えてしまうようなずっしりとした読後感を残す物語を生み出す作家はそう多くない。翻訳物になるともっと数が少なくなる。描かれる文化や生活習慣がやはり日本と異なっており、翻訳者の翻訳というフィルターがかかることも影響しているだろう。そうしたハンディを乗り越えて、重厚な読後感を残す作品を提供する作家。クックはそうした海外ミステリー作家のひとり。本作も例外ではない。

物語は弟の死の真相を追うため、職を投げ打った兄が女を追いはじめるところから始まる。女を追うストーリーに、過去の回想シーンをカットバックのように織り込んでいくクック得意の表現。幾重にも織り込まれるストーリー。やがて迎える予想を越える結末・・・。

印象深いラストシーン。謎めいた女を追うというストーリーは宮部みゆきの「火車」を思い出させた。心にぽっかりと空いた暗い穴の、ぼろぼろと崩れ落ちる淵を歩くような感覚・・・描かれる心象風景がずっしりと心に残る。また、結末近くの文章からとられたと思われる日本語題名がすばらしい。

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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 『記憶』シリーズを超えたクックの名作, 2006/3/9
レビュー対象商品: 心の砕ける音 (文春文庫) (文庫)
本書は、トマス・H・クックが『記憶』シリーズ4作品の次に書き、日本では「このミステリーがすごい!」の’01年海外編で第5位にランクインした作品。

1930年代後半、舞台はメイン州の小さな港町。性格こそ対照的だが、穏やかな中流家庭に育った仲のいい兄弟がいた。ある日、どこから来たとも知れぬドーラと名乗る若い女性がこの町に住みつく。やがて彼女をめぐり、ふたりの兄弟の運命は大きく揺れ動き、弟は血とバラの花の海の中で絶命し、兄はその死と、そして同時に失踪したドーラの謎に取り憑かれる。

物語はこの兄‘ぼく’がそれらの謎を解くため、ドーラの足跡を追うというかたちで語られる。この探索は、ドーラの過去へと伸び、ついにニューヨークからカリフォルニアへ、彼女の出生地までさかのぼる。そこでかつて起こった悲惨な事件が明らかになる。そして物語の真相(ドーラの素性と弟の死の謎)は予想もつかない、本格謎解きミステリー並みの意外なものだった・・・。

<現在>の‘ぼく’のドーラ探索行の合間、知らないうちに、この1年、ドーラが現れてから失踪するまでに‘ぼく’の周りで起こった<過去>の事件やエピソード、それらについてドーラと交わした会話などが交錯する。このあたりの表現手法は『記憶』シリーズでみせたクック独特の情緒が漂う、ミステリアスな作品世界である。それゆえ、事件の薄皮が1枚めくれるたびに、ドーラや弟や‘ぼく’の人生の薄皮もめくられていくような不思議な感じがするのである。

またエンディングは『記憶』シリーズとは異なり、温かい余韻をはらんでいるのが特長的である。

本書は『記憶』シリーズを超えたクックの名作である。
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