なだ氏はもう70歳になるのだという。なだ氏の精神科医としての社会批評は(立花某氏などとは対照的で)個人的かつ若干甘いヒューマニズムにあふれており、青年期になだ氏の著作を読んだ世代としては感慨深いものがある。この本はなだ氏の単行本処女作ともいえるもので、1970年に発刊された。小中学生にむけて、なだ氏がやさしく心理学を説いたものである。驚かされるのは現在読んでもみずみずしい輝きを失っていない点で、人間の「こころのメカニズム」の普遍性を思い知る感じがした。決して難しい語句や他人の文章を引用せず、誰でもが感じる心の不思議(おばけはなぜこわいか、気分とはなにか、不安とはなにか、など)を好奇心旺盛な世代に興味をもたせるような語り口で書かれている。現代の頭でっかちな精神科医たちのしたり顔の著作に飽き飽きした大人にもおすすめ。