前作からの流れを踏襲し、それを更に完成の域にまで高めた作品。
ジョン・レノン最後の傑作だ。
今作もロック色は薄めで、ソングライティングのベースは主にソウルミュージックを基調としており、弾けるようなファンキーな楽曲群が印象的だ。
同時期に大ブレイク中だったスティーヴィー・ワンダーの影響も感じさせる。
勿論、本作にゲスト参加しているエルトン・ジョンにも、大いにインスパイアされたことだろう。
作詞面においては、従来のように、ヨーコに対して直接語りかけるというよりは、二人の関係性を、広く世間一般に敷衍する形で表現するといった趣で、内容的にもっと普遍性を持たせているように感じられる。
換言すれば、パーソナルな側面を、出来る限りぼやかして歌っている、とも言えるかと思う。
何れにせよ、本作は、結果的に「ジョン・レノン」名義のオリジナル作品集としては、最後の作品となった。そういう意味では、このアルバムは、彼にとってのひとつの到達点であったという聴き方も出来る、極めて重要な作品であると思う。
何年か前まで僕は、「ポールはメロディーメーカー、ジョンはロックンローラー」という的外れな認識の下、彼等の作品を聴いていた。
しかし、今言ったように、今作をジョンのある意味到達点であったという着眼点から聞いた場合、このソングライティング能力は、彼を一介のロックンローラーで終わらせてはいないということは、明々白々な事実である。
革新性や、イデオロギーの過度な露出によって覆われ気味だったジョンのコンポーザーとしての能力が、遺憾なく発揮され、それが白日の下に晒されたアルバム。
それがこの「WALLS AND BRIDGES」であったと言えるのかもしれない。
そしてそれは、今後更なる深化を遂げていくはずだったのだ・・・。