本書は『ブッダの実践心理学 アビダンマ講義シリーズ第三巻 心所(心の中身)の分析』のエッセンスです。スマナサーラ長老以前にアビダンマと言えば、世親(ヴァスバンドゥ)がA.D.5世紀に著した『阿毘達磨倶舎論(アビダルマ・コーシャ)』のことを指していました。しかし、この『倶舎論』は「説一切有部(小乗仏教)」が生み出した内容であり、釈尊の教法からは逸脱しています。これに対して上座仏教のアビダンマは、“人格を改良して良い人間になるために必要な、心理学的な説明です。”(p.26)と述べる著者が日本に初めて紹介した釈尊の教法そのものです。
そしてアビダンマを勉強するのも、ヴィパッサナー瞑想の実践を進めるためであり、その理由を著者は次のように述べています。“私が言いたいことは、思考能力を高めたければ、より正しくものごとを考えて瞬時に判断できるようにしたければ、頭の中で、言葉でものごとを考えるのを、ぎりぎりまで控えるのがポイントだということです。(p.67)”;“善心所(浄心所)は25種類です。不善心所は14種類です。善心所が沢山あるということは、生命はただ生きるだけではなく、成長することができるということです。輪廻を脱出するところまで成長することが出来るのです。(p.137)”;“預流果になると同時に、お釈迦様の教えこそ正しいという強い確信が、自然に生まれます。(p.139)”;“「智慧」はただ善心で生きているだけでは生じません。修行して、特別に育てなくてはなりません。「智慧」を育てるためには、ヴィパッサナー瞑想で「気づき(サティ)」の実践をします。「気づき」と「智慧」は、相互作用で育ちます。(p.187)”