女性写真家の奈良をテーマにしたフォトエッセイです。長年撮り溜めしたと思われる写真が存分に入っていてお得です。観光写真というより芸術写真です。遷都1300年ブームにのろうという一冊ではないと思う。奈良の歴史的、文化的な古層が浮かび上がる感じで、私には一枚一枚の写真に奈良の神々が感じられました。何だか奈良の怖さのようなものが写真に写っていました。寺院の許可を得たと思われますが、奥の奥まで踏みこんで撮影していて、我が国の文化が遠いアジアとつながっている痕跡のようなものがありました。日本文化の根源は何なのか、今とは相当に違っていたのではないでしょうか。ただ旅行ガイドブックと思って買うとこの本、少し違うと思います。それから、登場する奈良の高僧のはなしも面白かった。彼らの語る力は、私の心に届き超一流だと感心しましたが、そのぐらいでないとそもそも高僧にはなれない、ということでしょうか。