「やっと…やっと、泣けた」
東日本大震災の被災地で、多くのご遺体と向き合い届けてきた別れのとき。
それは遺(のこ)された家族にとって、思い出が動きだすとき。
「うん、ママだ……ママだ……」
2011年3月11日、東日本大震災。
津波がうばった母親の面影を、
ひとりの女性が生前の姿にもどしていく。
何時間もかけて、ていねいに、絶対に元にもどすと思いながら。
その手で復元された生前の姿に、家族はようやく涙を流し、
子どもたちはお別れを告げることができるようになる。
人の最期の姿は、残された家族の今後を決める。
被災地にボランティアで入り、
遺族の思いが動きだす瞬間を見てきた岩手県の復元納棺師・笹原留似子さんの、
命をおくりつづけた150日の記録。
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復元納棺師とは
納棺師は、亡くなられた人と遺族との最期の別れの場に立ち会い、遺体を清め、棺に納めるまでのおごそかな儀式をとりおこなう。
復元納棺師は、事故や災害などで傷ついた遺体を、生前の姿に重ね合わせて復元する。
それは、遺族と亡くなられた人との思い出をつなぎ、心の絆をとりもどすための仕事である。
家族や友人、愛する人など、かけがえのない人を失った時に、人はみな大きな悲嘆(グリーフ)におそわれる。
遺族が深い悲しみを乗りこえるまでの支えとなり、見守ることを「グリーフ・ケア」という。
本書に登場する復元納棺師・笹原留似子さんは、東日本大震災で被災した岩手県において、
遺族のグリーフ・ケアのボランティア活動を続けた。(本文より)
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