「私という運命」以来の、女性視点の小説ですね。
今回の主人公も、「すれ違う男達が振り返ることに慣れている」
美女で、一流国立大卒、年収2千万のフードライター。
恋人は東大卒のエリート。
「一瞬の光」の瑠璃さんのような女性ですね。
この人は、どうしてこう世の中でひと握りしかいない、
選ばれた人を主人公にした小説ばかり書くのかしら?
しかし反発しながらも、今誰よりも新作が待ち通しい作家なのです。
「一瞬の光」では、ドメスティックバイオレンスにさらされ続けた
女性に出会ったことで、生きる意味を見い出す男性のお話でしたが、
今回はその出自ゆえ、結婚、家族というものに懐疑的な女性が
それを乗り越えて行くというお話。
相変わらず読ませます。
ストーリーテリングとしては超一流だと思います。
読み終えて、冷静に考えてみると「一瞬の光」を女性視点にした
ような話かも…。
しかし「一瞬の光」から何と進歩したことでしょう。
私とは似ても似つかぬ主人公ですが、「分かるわぁ」という箇所が
何ヶ所もありました。
この両親の元に産まれたというまごうことなき真実、
親とは無条件に愛してくれるものという信頼が、いざ自分が親に
なろうとする時、心強い道しるべとなるのかも知れません。
では、それがないものはどうすればよいのか?
その問いに対する、白石一文の答えが、この小説です。
一貫して、「人生とは?」「生きる意味とは?」を追求し続ける
白石一文の著作は、今後もきっと読み続けることでしょう。