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心に狂いが生じるとき―精神科医の症例報告 (新潮文庫)
 
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心に狂いが生じるとき―精神科医の症例報告 (新潮文庫) [文庫]

岩波 明
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

最初は心の小さな狂いでも、それをきっかけに、普通の人間が精神全体を蝕まれてしまうことがあり、ときには取り返しのつかない行動をとることがある。しかし、正常な精神と狂気の境目はごく淡く、我々の社会はアルコール依存、統合失調症、人格障害、うつ病など様々な精神疾患とともにある。人は、いつ、いかにして心を病むのか。現役の臨床医師が、虚説を排して実態を報告する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

岩波 明
1959(昭和34)年、横浜市生れ。東京大学医学部卒。精神科医。医学博士。東京都立松沢病院を始めとして、多くの精神科医療機関で診療にあたり、東京大学医学部精神医学教室助教授を経て、独ヴュルツブルク大学精神科に留学。現在、昭和大学医学部精神医学教室准教授を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 301ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/03)
  • ISBN-10: 4101305730
  • ISBN-13: 978-4101305738
  • 発売日: 2011/03
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
心に「狂い」を生じた実際の患者のありようを、治療例を通してリアルに書き出した一冊。扱っている疾患は、「アルコール依存」「統合失調症」などのメジャーなものから、「パラノイア」や「摂食障害」など、幅広く扱っているのが特徴。いずれの病気も、患者との会話例や実際の事件を通して、「心が異常をきたすとはどういうことか」を問いかける。また、そういった患者のケースを通して、逆に「正常」であるとはどういうことなのかを考えるきっかけも与えてくれる。

本書が他書と違って特徴的なのは、近年メディアを通して認知度が高まった、「精神鑑定」の信憑性についての議論がなされていることである。凶悪な事件を起こした加害者が「心に狂い」を持っていたと鑑定される例がある。果たして精神を「正しく」鑑定し、裁きの場に持ち込むことに問題はないのだろうか? 本書では、過去の実際の鑑定例を振り返りつつ、人間の心を判定するということの難しさを読者に考えさせる。

一貫して現実のケースをリアルに伝えるという姿勢が貫かれており、統一感があって読みやすい。扱っている内容は決して軽いものではないが、精神科というジャンルを本書を通して見てみることをお奨めする。
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11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By まる・ち トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
 画家ゴッホが芸術家の道を志ざし無理を重ねなければ、彼の「精神病」は発症しなかったかもしれないと言う。そこから、正常な精神と狂気との境界線はごく微かなものである、とする導入部は印象的である。
 本書は、うつ病とアルコール依存、被害妄想、幻聴・幻視、摂食障害(いわゆる拒食症・過食症)、発達障害、器質性精神病、強迫神経症などについて症例が紹介されている。それぞれ病の経過を追いながら、治療や症状のが事実を中心に記述されており、私見や憶測が入り込まないところが好感がある。
 「精神鑑定の嘘」の章では著者によって繰り返し述べられる「精神鑑定の困難さ」が取り上げられる。過去の裁判における先輩医師の診断を客観的に再診断して否定するところは、司法の仕組みと共にこの分野の難しさ、とりわけ「異質な要素を社会から排除して無かったことにする」という無意識のバイアスが働く日本の社会の特質を感じる。
 うつ病の章では、安倍元首相の例を取り上げて、各国首脳に見られる同症状の紹介があるが、日本における罹患数急増という統計に国家的深刻さが伺える。うつ病から自殺に至る例が多いという事実に「国家と社会が取り組まなければならない問題」という引用の指摘が重い。さらにうつ病を克服した患者がなお、日本の社会に対する諦念と拒否を感じているという指摘は、そういわれれば、この兆候は身近に感じる。そもそも国家自体がうつ病なのではないかと思える狭量さや冷淡さを感じる指摘だ。
 あとがきには、「日本においては長い間、精神疾患に関する施策はタブーとされてきた〜(中略)〜しかし、いまや精神疾患は「ありふれた病」になっていることをわれわれはもっと認識すべきだろう」とある。マスコミにねつ造される病名や診断名に惑わされることなく、正しい認識と自分自身の心の予防のために有意義な本だと思う。
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23 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 遊鬱 VINE™ メンバー
形式:単行本
著者の問題意識は医療観察法導入に引き続き、来年には裁判員制度導入という精神科医そして一般市民が触法精神障害者に向き合わざるをえない状況になったということにあわせて、精神障害の症状をたんたんと紡ぐことで、いつ自分があるいは周囲の人間が転落するかもしれない狂気との付き合い方を学んでほしいということに尽きるだろう。そしてはしばしに滲む精神鑑定やマスコミ報道への苦言がスパイスとなっている(終わりにで「まったく根拠がない仮説を堂々と述べることは理解しがたい点がある」と名指しされているテレビタレントとして人気のある精神科医は香山リカでしょうか?)。

症例を読めば読むほどにぞわぞわと込上げてくる嫌悪感や哀憫の感情とともに、カウンセリングや精神分析などといった曖昧模糊とした治療法ではなく、淡々と薬物治療がなされそこで一定の効果があげられていることは希望を抱くことがこの書を通して可能である。

アルコール依存症、統合失調症、摂食障害、精神病質、アルツハイマー、鬱病、、、といった平凡なように見えて実に恐ろしい症例の数々から目を逸らすことは許されない。
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