前刊で龍之進と結ばれた徳江が、義父の友之進からきいという新たな名を与えられ、
シリーズの新たな一員に加わる。龍之進の妹・茜と同い年で不幸な生い立ちを持つ
きいは、リスのようによく動く明るい少女ながら要所要所でその生い立ちならでは
の深い言葉で周りを動かす。本作では火の見櫓に立てこもった女下手人を説得し、
伊三次の息子、伊与太に裏店で死んだ女の一生の話をして人生の迷いを払拭させる。
男勝りで気の強い茜にきいのキャラクターが加わり、若手陣にも厚みが出てきた。
伊与太と茜の関係にも僅かな進展があるが、それぞれの道にまい進するこの二人も
楽しみだ。だいぶ出番が減っていた主人公の伊三次・お文の場面が増えたのも嬉しい。
特にお文姐さんの久々の啖呵が懐かしく「よっ!姐さん!」と声が出そうになった。