1.内容
(1)現在は「新聞の危機」であるが、確かに全国紙5紙を(会社を研究してきた)著者が検討したところ、それぞれに問題を抱えていた(大まかに言えば、独裁者の読売、叩かれる毎日、株式会社として疑問がある朝日、日経、産経)。(2)その全国紙5紙は、株式会社(そうでないのは「徳島新聞と名古屋タイムズ」(p4)ぐらいだとか)のはずなのに、譲渡制限があるなど、およそ株式会社らしくないが、系列のテレビ局などは公開しているところもある。しかし、営利と言論は両立しがたく、テレビ番組の質も低下している。(3)また、株式会社体制の外にあって、株式会社体制に依存することによって機能しているので、私立大学と似たようなところがあり、責任があいまいになっているのも、問題である。(4)部数を増やすために「不偏不党」「中立報道」を掲げているが、実際は、スポンサーである財界や、保守長期政権のせいで「右寄り」になってしまっている。(5)このような現状を打破するために、(ア)新聞社は株式会社をやめ、(イ)従業員300人規模に解体して、(ウ)記者は記事ごとに報酬がもらえるようなシステムに改めるべきである。
2.評価
第5章までは、それぞれの新聞社の問題点をコンパクトに取り上げてあって、よい。また、営利との両立の難しさは、『ルポ 米国発ブログ革命』(集英社新書)でもあるように、なるほどと思わせる。ただ、著者の見解にも疑問がある。たとえば、第1に、所詮民間なのだから、利益を拡大するのは仕方のない面もあるのではないか?第2に、「右寄り」だけを批判するが、右左の問題ではなく、権力監視の問題なので、用語として不適当。とくに第5章までで星5つ。疑問があるところで星1つ減らして、星4つ。