三国志のおさらい本は世に幾つもありますが、本書の良い点としては、次のことが挙げられるでしょう。A5サイズで比較的コンパクトであること、全編カラーで見やすいこと、当時の生活習慣や官位の紹介があること、各戦場について現代中国での地図上の位置が示されており地理感覚を掴みやすいこと。付け加えるならば、この分野では定評ある諏訪原寛幸氏のイラストが抜群に良いです。特に、赤兎馬に跨り、方天戟を構える呂布は妖しいほどに美しい。
ただし、コンパクトゆえに、若干割愛されているエピソードもあります。例えば、傾国の美女鄒氏に溺れた曹操が、張繍の反撃に追い詰められた末に屈指の猛将典韋を失うという、宛城での有名なシーン。これは本書では取り上げられていません。
そういった点から、三国志入門者〜中級者向けの内容と言え、余すことなく「三国志」全体を押さえたい方ならば、もっと重厚なおさらい本を手にした方が良いでしょう。