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5つ星のうち 5.0
人間理解の深さ,
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レビュー対象商品: 徴候・記憶・外傷 (単行本)
著名な精神科医の新刊である。内容は深く広い。途方もなく。精神医学に関心のある人々だけが読むとしたら、実にもったいない ことである。 「高学歴初犯の二例」と題する章がある。司法やジャーナリズム関係の方々 には是非ご一読をお勧めしたい。犯罪に人間を駆り立てる状況と心理を描いて 短いながらもほとんどドストエフスキーに匹敵する迫真の描写である。
38 人中、33人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
トラウマと分裂病,
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レビュー対象商品: 徴候・記憶・外傷 (単行本)
心のうぶ毛(『最終講義』)なんかはもうとっくの昔にすりきれてしまったけど、中井さんの本は、出るたびにまだ胸がときめく。単中井先生は阪神大震災に遭い、精神分析医を組織して被災者のサポートを行うと同時に震災後のPTSDの問題にも取り組んだことは有名だが、PTSDは阪神大震災という出来事への対応というだけではなく、専門とする分裂病治療にも活かされることになる。今回はそうした試みのまとめ(ちなみに『徴候・記憶・外傷』 の外傷とはトラウマのこと)。まず、記憶に関しての議論との関連だが「外傷性フラッシュバックと幼児型記憶との類似性は明白である」(p.53)という。どちらも二度とは同じ危険にあわないための、事前避難のため視覚的イメージだとのこと。 分裂病との関連だが幻聴などによって、分裂病と診断されたものの、薬が効かない場合には、外傷(トラウマ)を疑った方がよい。つまり、幻聴と思われるものが、聴覚性フラッシュバックである可能性が高く、大声を発することも幻聴に対する自己対処方法だという。しかし、30年前には日本で外傷(トラウマ)に関する知識はなく、分裂病として間違った治療を行われてきた例も紹介され、深刻な問題なんだな、と蒙を啓かれた。 個別の議論では、レイプの被害者は、成人となった後、男性と「同情結婚」する場合があり、「同情する夫が性的に迫れば『不潔』と退け、遠ざかっていると『冷たい』と罵ることによって、夫の立つ瀬をなくし、支配する」(p.107)という"ヒリステリー結婚"に陥ることもあるという例は「いやー、なんとも」と思った。 また、幼児型記憶は断片的だが、これは二歳半から三歳にかれて行われる大きな記憶の再編成の後に「成人文法性の成立に合致するような」(p.50)混乱が生じないものだけが残ったものだという。成人文法性(adult grammaticality)は生得的なd構造(深部構造)であり、どんな原始的な生活を営んでいる人間集団の中でも見出され、人間の三歳児以前の片言のような言葉しか話さない部族はまだ見いだされてないというような議論も面白い。 「解離は拷問、虐待そしておそらく死の場合にも駆けつけてくれる救済者であるが、将来まではおもんばかってくれない」(p.110)という一文にはしびれさせてもらった(解離とは離人症のこと)。
25 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
あうあうと驚きながら読む,
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レビュー対象商品: 徴候・記憶・外傷 (単行本)
全然精神医学に詳しくないので,とんでもなく分からない文章もありましたが,人間への視線の深さに腰砕けになって読みました。どうしようもないとさじを投げそうなところに「人間関係」を成立させる技は,病とは遠い普段の生活における対人関係にもいろいろな示唆を与えてくれます。
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