織田・豊臣から徳川の時代へ。本書は、江戸時代の政治・社会の基盤の形成を見た17世紀の歴史を様々な先行研究の蓄積を総合しつつヴィヴィッドに描き出すものである。将軍とその幕臣による政策のみならず、史料として当時の絵師が描いた「屏風」の絵などを題材に人々の生活や成熟しつつある都市や農村の姿を浮き彫りしていく。そのなかで当時整備されつつあった都市の上水道システムや火災対策、ゴミ問題の登場、農業の発達と逆に農地開発に伴う土砂災害を巡る議論などが先行研究の諸成果を駆使しつつ具体的に紹介されている。社会の発展は自然との間で新たな矛盾を生み出す。その矛盾に対処するために新しい行政の仕組みやローカルな村の掟、村同士の紛争解決の作法などが整備されていく様は徳川社会の活力を感じさせる。とても面白かった。