これまで特許はどちらかというと他社の権利侵害に対して他社特許調査が重要であり、守りについては日本企業も仕組みを作って対応してきたといえる。一方、出願については、一人年間2件ノルマのように件数重視でした。なぜ出願をするのかという観点での教育がなされてこなかったと思う。この本には、なぜ出願をするかという素朴な問いかけに対する明快な答えがあり、研究・開発部門の仕事のあり方を考え直す一つのきっかけになるように思われる。自分の開発成果を出願するというパターンから脱却し、競合の参入を阻止するために、その技術分野における重要特許を分析し、競合の参入を結果として阻止するために、自分のやった範囲以外に対しても権利化して、特許バリケードを築けることがR&Dに期待される重要な役割ということになってくると思いました。経営者の仕事が将来にわたる自社の利益の最大化であるという観点からすれば、このような役割をR&Dに対して云えるのは経営者自身ということになると思います。