兄クリュザンダーの結婚後、代わりにニューヨーク本社を引き継いだセロンは、自分もそろそろ身を固めようと結婚を思い立つ。
由緒正しいギリシア人家庭の育ちで、気心の知れているアラミスとなら似合いの夫婦になるだろうと考えたセロンは、
暗黙の了解のもと、アラミスとその母親をニューヨークに呼び寄せ、プロポーズすることに決める。
ところが、あと一週間でアラミスが到着するという時期に突然、クリュザンダーが後見人をつとめているベラが現れる。
数年ぶりに顔を合わせたベラは、息をのむほど美しくセクシーな大人の女性に成長していた…。
今回は、アネタキス三兄弟の次男セロンがヒーロー。
ヒロインは少女の頃からセロンに恋い焦がれ、なんとしても彼を誘惑すると心に決めている裕福な女相続人ベラ。
まじめで性格のよいセロンを、大胆で快活なベラがあの手この手で誘惑し振り回すという、
前作『心があなたを忘れても』とは全くテイストの違うストーリーですが、これが実に楽しい。
「アラミスにプロポーズしなくては」「ベラに財産目当てではない、よい結婚相手を見つけてあげなくては」と考え、プロポーズの舞台を整えたり、
ベラの結婚相手の候補者リストを作成したりしつつも、ベラの美しさや奔放な振る舞いに心をかき乱され、机に頭を打ちつけたくなったりするセロン。
「マーリーが兄を心から愛するように、僕を愛してくれる女性がいるとは思えない」と普通に思い
(注:セロンのルックスは兄弟に引けをとらず、性格はずっとよい)、
ベラの恋心にも誘惑にもまったく気づかず、逆に自分がベラを誘惑したと考え、自分を責めるセロン。
セロンの鈍感さゆえに、物語はすんなりハッピーエンドとはいかず、ベラが暴走することになるのですが…。
シリーズの中では一番好きな作品。とても楽しく読めました。
末弟ピアズがヒーローの『一夜の夢が覚めたとき』では、2人のその後が読めます。
クリュザンダーやピアズをも振り回すベラと、セロンのベラへの溺愛ぶりに興味のある方は、そちらをご覧ください。