越沢氏はこれまで都市計画の歴史に関して多くの著作があり、それらは東京、台湾、満州国と広範囲にわたっている。そして、それらの著作の多くに登場するのが後藤新平である。本作は、阪神・淡路大震災後に『復興計画』が出版されたように、3.11東日本大震災を意識して、歴史から学ぶことの重要さを訴えたものである。
内容は、第1〜第4章が書き下ろしで、第5〜第7章が旧作を再構成したものである。それぞれ第1〜第2章が後藤新平の生い立ち、第3〜第4章が台湾、満洲の都市計画、第5章が8億円計画と言われた東京市政要綱の成立過程、第6〜第7章が関東大震災後の帝都復興計画についてである。
いずれも著者が研究を重ねてきた分野で読み応えがあり、そういう面では本書は著者の集大成と言えるだろう。本書は、都市問題に関心のある人だけでなく、多くの人に読んでもらいたい内容である。そして、今日の大震災・原発問題で混乱する日本の状況をみるにつけ、改めて後藤新平のような長期ビジョンを持ったスケールの大きな政治家がいてくれればと思う。