「生まれながらにして異常なほど好奇心が強く、少年のように純粋で、わがままで、感情的な人であった...(中略)...市井の下賤の者たちとも積極的にまじわり、共に今様を歌い、祭りに興じ、笑い、そして泣いた」「何度も武士達に幽閉され、命の危険に直面した。しかしながら、不思議にもこの人は、己の権威を保ち続けたのである」。
後白河上皇について紹介した本。源氏と平家、貴族、僧侶達の様々な陰謀や駆け引きや工作や脅しや武力衝突が続く激動の時代の転換期において、様々な勢力との間でしたたかな政治力を発揮し、朝廷の権威を守り抜いて生きた様子が、その時代とともに描かれている。
保元の乱、平治の乱、源平の合戦など、歴史的な事件の説明については必ずしも本書に頼る必要はない一般的な内容ではあるが、この個性的な法皇の人間性について解説している部分はなかなか興味深く読めた。時々お忍びで出かけたり身分に固執せず人に接するため、大衆には人気があったらしい。また、いろいろな災いを崇徳上皇のたたりのせいだと考えていたという。
敵対する勢力の双方と関係を保つ平清盛のバランス感覚など、同じ時代を生きた人物達についての特徴について述べているところもある。また、この法皇も含めて男色は普通に行われていたなど、当時の風習についても触れられている。歴史の本によく資料として引用されることの多い当時の貴族の日記というのは必ずしもわれわれが考えるような私的なものではなく、様々な行事をどうしたかという記録を残すという大切な目的があったらしい。そういう重要な役目もある日記帳に、力ずくで満足させてくれた相手の実名入りで男色の様子を貴族が書き残した文章を紹介しているところもある。気持ちよかったんだねえ。。。