金井美恵子久しぶりの新刊は、食にまつわるエッセイ集です。もちろんただの料理紹介本ではなく、そのいちいちを表現する様は例えば、職人が作る優美な工具な工芸品のように美しく機能的で見飽きない(読みあきない)ものとなっています。「ギネス・タイプの黒ビールは、ツンツンというかシュワシュワやけに気泡ばかりが舌にちくちくして味がない、というのとは反対で、黒蜜やハチ蜜のような香りと酸味があって、麦とホップで作られたたべものと飲み物の中間とでも言いたいような・・・何か冷たいさわやかなスープを飲んでいるような・・・味で・・・・・・・」もちろんその晩僕はギネスを飲みながら残りのページをめくっていったのでした。いつかこの人の旅行記がよみたいなとふと思い、やっぱりこんな文章の書き手はこの人をおいてほかにいないと感じたのでした。