「イギリスはおいしい」のリンボウ先生、実は国文学がご専門だとは知らずに手に取った一冊です。
平家物語を「死」を意識した文学として鑑賞し直すことで、「人は死を前にすると弱い」ことをふまえ、現代にも通じる「生きること」へのヒントを与えてくれる作品でした。
登場する11人の死に様はそれぞれあまりにも有名ですが、本作によって改めて気付かされた点がありました。
バカ殿様だけど家族思い。その思いが相反する行動に表れた宗盛と維盛。
王朝の文化的系譜を引き継ぐ忠度や重衡。 特に重衡に光源氏的色好みの役割が与えられていたところ。
壮絶な最期を遂げる二人の武将、知盛と教経。 大方情けない死に様を披露する登場人物の中にあって、その存在は一種の「救い」でもある。
建礼門院徳子は極楽往生のスター的存在。理想的な死を迎えることで物語を締めくくる。
徳子の最終部分の記述にはアレ? と思うところがありますが、取り上げるテーマ部分の古典と現代語訳が併記されているので、全体的に読みやすい構成になっています。
引用されている古典は難しくないので是非原文を味わいつつ、リンボウ先生の情感がこもった現代語訳(意訳)は平家入門としてもおすすめです。