「目白四部作」の一つである『小春日和』の続編。
『小春日和』は大学に入ったばかりの桃子と花子が主人公の“少女小説”です。
恋愛至上主義ではない、知的で賢く元気な女の子たちなら
きっと共感してしまう、そんな面白い作品の続編がこの本です。これがまたとても面白い。
続編といっても、それからヒロインは**になりました、という展開でないのが
この作品にリアリティを感じるところです。
自己実現の為に頑張る前向きな姿勢は確かに大切。
でも、実際の女の子たちの多くは 自分が何をしたいのか、何になりたいのか考えているうちに
いつの間にか こんな年齢になっていて…というのではないでしょうか。
この物語の桃子は三十歳。『小春日和』から既に十年が過ぎています。
大学院浪人したあとは定職に就かずフリーターをしていて、
恋愛経験はあったようだけれど現在進行形の恋もなく、結婚もしていません。
母親の再婚と弟の結婚という出来事があったにもかかわらず、桃子自身は何も変わっていないのです。
花子や親戚のおばさん、新しい登場人物たちと食べて飲んで喋りまくる日常。
子供のときは すごく大人に思えた二十歳・三十歳が
いざ、なってみると今までと全然変わっていなくて、勿論多少の焦りはあるものの
こんなものなのかなー…と、あっさり思ってしまう私は大いに共感しました☆
少女小説は、ティーンエイジの内的成長を描くものが多いけれども
こういう、年齢は立派な大人だけど内面は少女期と変わらない女の子
(本来なら女の子と呼ぶのに ふさわしくない年齢だろうけど)
をヒロインにしたものも少女小説と呼んでいいと思います。
この後 桃子はどうするのか気になるし、続きが気になるのも少女小説の条件のひとつです。
また数年後の桃子に会えるかどうか、続きを期待してしまいます。