オビには「本格ミステリの名手が仕掛ける壮大なトリック」とありましたが、個人的には
竜頭蛇尾な印象が拭えないのです。ホテルに集ったメンバーの特徴が生かし切れないままに
急速にクライマックスに向かって結論を急いでいるような、あたかも結末が時間内に収まる
ように制作された2時間ドラマのようなイメージです。登場人物のノリもドラマっぽい感じが
しますし。ミステリーというよりはサスペンスでしょうか?
舞台の設定は魅力的だと思います。しかし携帯電話の存在が舞台設定をぶち壊しにしていま
す。携帯があっても物理的にそこに行き着くことがができなければ同じだと著者はいいます。
実験的な意味合いもあるのかもしれませんが、「クローズド・サークル」独特の閉鎖性、緊張
感が薄れてしまい、折角の見せ所である中盤以降がやや興醒めで。
「本格ミステリ」というには、残念ながらもの足りません。