21世紀の新しい戦争の現実と平和構築の問題について、報じられることが相対的に少ない帰国後の兵士たちの姿、家族の悲劇、戦争ビジネスの影にある雇い兵などにスポットを当てたルポルタージュ。
イラクからの帰国後、心に傷を負い、うつに悩む帰還兵。悪夢に襲われ、恐怖心に常にさいなまれ、家族を傷つけることさえある。そんな状態で帰国し、仕事がみつからずにうつが深まり、路上に放り出される。帰還兵からホームレスに至る道は驚くほど早い。ホームレスになっている帰還兵は約2000人、百万人の全米のホームレスのうち40%が退役軍人だ。アフガン、イラクに展開した米兵90万人のうち30万人がなんらかの治療を受けているという。そのうちの4割の12万人が脳神経系の問題といわれる。イラク帰還兵の場合、離婚率は8割近いという。自殺者は一般人の2倍という統計もあるほどだ。
泥沼化する戦況の中、軍への志願者も減少している。新たなターゲットとなるのは、貧しい家庭の子供たちだ。リクルーターは英語が話せなくても米国在住でさえあれば構わないと勧誘を続ける。そんな兵士不足を補うのが民間軍事会社だ。発展途上国から雇い兵を集め、安い給料で危険な仕事を担わせる。それでも、彼らは生活のため、リスクを承知で出稼ぎを繰り返す。一方でロジスティクス、兵士のトレーニングなどを民間会社が行うため、正規の兵士が危険地帯で送り出される率が高まっている。米政府高官が代表をつとめる軍事会社への発注の多さなど疑惑も多い。
生活の場を戦地として奪われた人びとも悲劇だ。家をなくし、家族を殺され、怒りと悲しみにとらわれる。
出口の見えない戦争は、誰のためなのか、何のためなのか。
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