このシングル、収録曲の趣がそれぞれで全く異なり、面白い。
まず二曲目の「interference]。アップテンポな調子の曲で、柴咲コウの透き通るような空気を感じる声が不思議で、意外に結構マッチしている。
三曲目の「あのひとこのひと」はサビに入るまでは優しい心穏やかになるメロディーで、サビになると優しいけれど切なく、懐かしい昔の風景が浮かんでくるような歌だ。ほかの二曲に比べ編曲に派手さが無い気もするが、しみじみとした趣がある。
そして、シングル一曲目の「影」。まるでRPGのサントラのように、壮大な物語を聴き手に思わず想像させるような不思議で、幻想的な始まり方かつ編曲だ。でも僕はその前奏を聴いていて意外に思った。サウンドに明るい印象を受けたからだ。ドラマがとにかく重くて暗い内容で主題歌もどれだけダークかと思っていたのに・・・いいのか?一体どうなるんだ?と。
しかし歌い出しの直後。「僕は今どこにいるのだろう」の「僕は」が終わり「今」を紡ぎ出したとき。「えっ」と思った。一瞬のことに愕然とした。曲の雰囲気が変わったのだ。明るい風景が刹那、謎めいた月光の差し込む暗い世界に変わったかのような、些細な、それでいて劇的な変化だった。そこで一気に歌に引き込まれ、更に途中から幻想的なサウンドに圧迫感というか緊張感を与える音響が加わり、一層魅せられる。サビは壮大で美しいオーケストラ、痛々しいような哀切の溢れる流麗なメロディー。そして曲の雰囲気を壊さない、柴咲コウの感性光る亮司の視点にとれる独特な歌詞。もう「白夜行」の曲はこれしかないと誰もが思うだろう。ドラマや小説を知らない人にも絶対聴いてほしい。編曲が光る、実に凄い歌だ。
個人的好き嫌いと歌詞で微妙に思う箇所がある点、「影」の終わりがあっさりしすぎている気がしたのをさっぴき、CDとしては星4といったところか。かなり「おいしい」CDだ。