モンゴメリの代表作『赤毛のアン』では、アンが生き生きと人生を謳歌し、作品全体が喜びや光で満ち溢れているようなイメージがあります。それに比べてこの『影の谷を越えて』は、タイトルからもわかるようにちょっとミステリアスな雰囲気が全体に漂う短編集になっています。
百年前の当時、現在よりも死が身近にあったこともあり、幽霊や魔術に関するエピソードも登場しているのが興味深いです。さらゴシックスリラーのような短編も登場して、その真に迫る恐怖の描写にぞくぞくさせられてしまいました。それでも暗い話ばかりではなく、影があれば光もあるように、ほっとできる短編や笑えるユーモラスな短編もあるのでご心配なく!生きていく中で時折出会う「影」、それは心に忍び寄る悪意であったり、死!者の魂であったり、とんでもないハプニングであったり、人それぞれです。その様々な「影」がモンゴメリによって巧みに描かれています。