物語の展開について、ここには何も書くつもりはありません。
この種の物語は、その展開の面白さこそ命なのですから、
興味を持った人は、無垢の状態で読んでいただければいい。
そして読み進むうちに、僕と同じように夢中になって、
神々と人間の関係を考えながら、作品世界を味わって欲しい。
この作品には、それだけの魅力があることだけを伝えましょう。
この730ページが、シリーズ一齣に過ぎないことに驚きます。
さて、それでも一つだけ、書き添えたいことがあります。
この物語全体、おそらく作者自身が伝いたいことの本質が、
様々に登場してきますが、中でも魂を救われたヒクサルに対し、
イスタが、神からの伝言のように伝える言葉が魅力的です。
「神々が真に望まれるのは疵のない魂ではなく、偉大な魂なのよ。
花が大地に育つように、偉大さも真の闇において育まれるのでは
ないかしら。あなたはここにいる誰よりも神の手に近いわ」
ただ清浄を良しとするのではなく、あらゆる罪を背負ったままで、
ヒクサルはイスタの最も身近に使える者の一人に任命されます。
これは、シリーズ次作品への伏線にもなるはずですが、
同時にまたこの五神教シリーズが、単なるファンタジーではなく、
現代の宗教哲学書であるかもしれないと、思わずにはいられません。
過去50年間の世界が、科学を先取りしたSFに導かれたとしたら、
今後は霊魂の世界を描いたファンタジーが、導くのかもしれませんよ!