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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
著者の幕末維新史の最終作品にして最後の歴史小説,
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レビュー対象商品: 彰義隊 (新潮文庫) (文庫)
故吉村昭氏が紡ぎ出した重厚な歴史小説群の掉尾を飾る一作。史料の博捜と緻密な考証そして確かな史眼はいつもながら見事というほかない。本書により、鳥羽伏見の戦いから箱館の戦いまでの幕末維新史がよく理解できた。なお、評者の印象に残った箇所は、以下のとおり: (1)山岡鉄太郎(鉄舟)を、勝家お預けとなっていた薩摩藩邸焼き討ち事件の主犯格である益満休之助(薩摩藩士)が訪問し、両者が駿府城の西郷隆盛を訪れ交渉、この時点で徳川家の存続及び江戸城無血開城(江戸への進撃回避)が事実上確定した状況にあったこと(114頁以下、126頁以下)。 (2)民衆の暴発を避けるため、あたかも1945年の敗戦時と同様、支配階級の一定の存続措置が採られたこと(123頁以下、361頁)。 それにしても、司馬遼太郎氏の想像力をいわば歴史の高みにまで飛翔させたかのような「鳥の目」と吉村昭氏の細部を揺るがせにしないあたかも地を這うが如き「虫の目」と、お互いあくまでも歴史的事実に基づきながらも、両巨人の作風の違いはいつもながら興味深い。娯楽歴史小説は手を替え品を替えこれからも量産されるのであろうが、お二方のような巨人はいつまたこの日本に降誕するのであろうか。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
輪王寺宮の数奇な運命と彰義隊、維新の陰影。,
By Brewster★Baker (伊奈町 Japan) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 彰義隊 (新潮文庫) (文庫)
本作は将軍慶喜が鳥羽・伏見の戦に敗れ、海路江戸へ向けて前線から帰東するところから始まります。幕閣では官軍との主戦論が 大勢を占めるなか、大久保一翁、勝安房は江戸の戦乱を避け、 新政府の樹立と富国強兵の推進を専らに考え、将軍慶喜はその実を示すため 寛永寺に蟄居・謹慎し恭順の日々を送ります。 上野寛永寺の山主:輪王寺宮能久親王も裏面から朝廷工作に努めたのですが・・・。 今や落日の幕府でしたが、江戸の旗本・御家人そして庶民にしてみれば この「進駐軍」の跋扈は許し難いものだったことでしょう。 彰義隊の成立は当然の成り行きでした。「パルチザン」・・・・ですね。 大総督府の司令官:大村益次郎の周到な作戦と火力で上野に立て籠もった 彰義隊との戦いは結局1日で決着がついてしまいます。慶応4年5月15日でした。 その後、というより本編の主人公ともいうべきが【輪王寺宮能久親王】。 東北各地を転戦し諸藩の降伏と共に蟄居、ようやく明治2年に処分を解かれ 還俗してからは、陸軍軍人として活躍します。皇族の連枝として、一時でも 「朝敵」になった事の重い記憶が彼の一生を通じての桎梏でした。 きめ細かい資料の渉猟と冷静な筆致が堪能できます・・・・。 本作は吉村氏の最期の歴史小説です。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
動乱の時代に翻弄された皇族の生涯,
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レビュー対象商品: 彰義隊 (新潮文庫) (文庫)
輪王寺宮能久親王は数奇な運命により、幕府と朝廷、新政府の間を翻弄され、朝敵の汚名を受ける。彰義隊として戦い、さらに東北に落ち延び、抵抗を続ける。 しかしついに抵抗を断念、新政府に帰順し、そのもとで新たな一生を送ることになる。その時その時を一生懸命に決断し、生きた結果だろうが、時代の荒波に揉まれた悲哀がにじみ出る。 吉村昭のタイトルのつけ方は独特で、素晴らしいものも多いが、本作に関しては疑問である。彰義隊は前半だけで、彰義隊としての戦いもあっさりと終わっている。その後の明治までの苦難に満ちた生涯が主題である。
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