渡邉美樹自身が書いた本で「青年社長」以降のことも書かれているだけに、彼の本質を知るために欠かせない著作である。
読み初めてすぐに、優しい面立ちに似合わぬ激しさ(苛烈といってもいいだろう)と一つ一つの物事、一日一日に結論を出して葬り去る様に進んでいく様に驚いた。
巻末に至ってその理由がわかった。
「私は10歳の時に母を亡くしました。その影響もあってか、私は常に時間を意識して使っています。明日死ぬかも知れないという、強迫観念があるからです」---。
強運を呼ぶ4つの方程式を書いているが、氏は自分の好きなこと、夢が決まっていることを大前提としている。
それはそのとおりで、好きなことが見つからない、わからない、というのであれば、どんな犠牲を払ってでも、食うや食わずの生活になろうとも、それを見つけることが先決だ。
自分の好きなことがわからない、見つからない、という人は「劣等感」が深く関与している。
その劣等感の正体を知るには、へたに心理学の本に手を出すより、斎藤一人氏の「地球が天国になる話」が明確にわかるのではないかと思う。
渡邉氏は、若い頃から松下幸之助氏を尊敬し、幸之助翁の著作を愛読しているという。
松下氏は渡邉氏と違って、”永遠性”に立脚していた。
また、渡邉氏がいう顧客・従業員・株主の「ありがとう」を求めているわけでもなく、彼らを含めた世界の民衆の幸福に貢献したいという願いがあっただけだ。
このあたりに現在の渡邉氏と松下氏の違いを見た思いがする。
ただ、渡邉氏はまだ49歳だ。
小生よりも若い。
この本によると、彼は「50にして天命を知る」という孔子の言葉を今意識し、自分の仕事の有り様を思索しているようだ。
孔子が言うように、年齢と思想は関係する。
貪欲にまみれ、倫理観のかけらもなく、若者を消耗品のように扱う経営者や会社だらけになっている現在の日本。
その中にあって渡邉美樹は、やはり、多くの人が期待をかける男だ。
これから先の10年、20年の活躍を見守りたい。