失礼ながら、農業ジャーナリストという職業を初めて見た。しかし、農業の川上から川下までを見渡し、それぞれの問題を明らかにしながら、それでも生き残りを模索する人々の取り組みを紹介する本は、確かに農業を専門とするジャーナリストでなければ書けないと思った。
農業は辛い。キツイ。儲からない。そう思われている。実際、つくるだけ作ってJAに出荷して代金を受取るだけの農業をしていれば、そうなるだろう。今日出来た物を今日全部売る。いくらで売れるか分からない。
では、流通業者が儲けている?小売業が儲けている?
そうではなくて、農業に関わる者だれもが得をしていない仕組みがあり、結局は消費者が安い価格で買って得をしている。しかし、消費者は農家への所得補償という形の税金投入で損をしている。
このままでは誰もが苦しいだけだ。
この状況を打破しようともがき、様々な取り組みで儲かるようになった(=強くなった)農業関係者を丹念に取材してまとめている。安全問題、トレーサビリティ、情報発信、品質確保、ブランド化、観光業との協業、地産地消と障碍者の職の解決など、事例は様々だ。
それでも、強い農業で活気づく事例の豊富さと、ところどころに設けているコラムによる解説が素晴らしい。