著者は書きながら、言いしれぬ怒りを抱え込んだに違いない。果てしない悲しみを感じたに違いない。読む方も辛いが、書いた著者は本当に辛かっただろうと想像できる(むろん当事者はもっと辛い思いをしている)。毎年3万人が自殺するこの国。10年で30万以上の人間が自殺したのだ。これはこの国のシステムとして、絶対に何か問題があるに違いない。
読んでいると被害者に対する同情とともに、加害者に対する怒りでめまいがするほどである。しかし、加害者にも、そうする理由があったにちがいない。それぞれの事件の加害者がたんに人格的にゆがんでいたわけでもあるまい。なにが彼らをパワハラやいじめやモビングへ駆り立てたのだろう。なにが教師に生徒たちのいじめを無視させ、事件後も、なにが校長に無責任な態度を取らせたのだろう。なにが福祉課の窓口職員をして、困っている人間を無視させたのだろう。
むずかしいことだが、被害者だけでなく、加害者の本音の言葉も聞いてみたかった。むろん、無理は承知の上である。しかし、それによって、今の日本が抱えている一番の問題点、つまり新自由主義による「ゆとりのなさ」がもっと明確になるのだろうと思う。
読むのは辛い本である。だが、したり顔で大所高所からものを言わないためにも、この現実を知っておかなければならない。