今最も勢いのある自転車漫画も20巻。
インターハイ最終日、牙を向く伏兵・広島呉南に総北と箱学はどう対応するのか。
であるのだが、今巻は理解しにくい描写が多い。
前巻でロードレースの最大の特徴である「集団と協調の強さ」を描いておきながら、あっさりと荒北が単騎で集団を抜け出し、味方のトレインを追い越して、さらに広島チームをもごぼう抜きする描写に首を傾げてしまった。
味方トレインを引いているのは1日目スプリントリザルト1〜3位の田所・鳴子・泉田という、言わば高校最速レベルの選手達であり、王者箱学在籍とはいえアシストの荒北が簡単に抜けるメンバーではないはず。前述の「スプリンター」達が引くトレインを抜いていったのが広島チームの「クライマー」達だという事も、作者が今までの巻で説明してきたことと正反対。
「人数は強さ」なのではなかったのか?「スペシャリスト」とは何なのか?インターハイ1日目の坂道100人抜きには得意の山だからと納得できたのだが、今回はなぜ荒北が単騎で集団を引き離せるのかが全く分からなかった。
実力的に圧倒的不利な状況を、荒北が頭脳戦で覆すのだと思ったのだが…。
また突然始まった待宮対荒北の勝負も、明らかに優勝争いに無関係・無駄足な私闘だとしか思えない。
私怨にしか見えない待宮の因縁つけも浅はかなら、優勝を目指しているチームの荒北が勝負に乗ることも浅はかだ。
御堂筋と広島の協力フラグが立っているので、今巻は「つなぎ」の巻なのだとは思うが、今までの巻とのちぐはぐさを感じた。読者を置き去りにしたまま空回りして失速せぬよう、次巻以降の立て直しに期待したい。熱さと勢いは十分にあるので☆3つ。