それまで取り柄と言うほどの取り柄を発揮できていなかった少年が、ロードレーサーに乗った少年と出会い、自分の強み才能に気が付くお話です。
数日“特訓”した結果、天才と呼ばれ長年練習をしているライバルに勝つような軽薄な小説・漫画が多い中、主人公の少年が凡人ではなく、事実として天才であるもののその異能を本人も周りも知ることがなかったと言う点が興味深いです。少年漫画の「ごく平凡な少年が」というものとは表面的には似ていますが根本的に真逆の、「天才が開花してゆく物語」と言えます。
私自身、ロードバイクに乗りレースにも出るのですが、技術的な面について書かれている内容は、ほぼ事実といえます。「フラットペダルでハイケイデンスが可能か?」と真実性に疑問を投げかける人がいますが、ケイデンス200を回すことができれば、それだけ引き脚が使えれば、フラットペダルでも130くらい楽に回すことができます。あえて重箱の隅をつつくならば、ダンシングとゴール前スプリントのダンシングは似て非なる物なので、そのあたりは書き分けて欲しいですね。メカやバイクについてほとんど書かないのは、ロードバイク専門誌ではないので、正しいと思います。詳しくロードバイクについて書かれているわけでもないのですが、ロード乗りの私を興奮させ、夜連に駆り出させる何かが、この漫画にはあります。
よい友人・先輩・教師に囲まれ才能を開花させてゆく少年漫画として、ロード乗りが練習し、汗を流し涙を流すロード漫画として、およそ最高の一冊といえるでしょう。お勧めです。