東日本大震災の発生以降、格差問題、貧困問題がマスコミに取り上げられる機会は減ったのかもしれない。
しかし筆者は、震災で最も大きな被害を被ったのは社会的弱者であり、
今後の復興の過程において更に格差が拡大する恐れが強いと言う。
筆者は「格差極悪論」に立つ。
格差社会は人間関係を劣化させる。
社会的弱者にとってはもちろん、強者にとってもよい社会ではないのだ。
ではどうすればよいのかというと、現在行われている社会保障をさらに手厚くするだけでは不足だという。
弱者に対する「社会的包摂」が必要である、
すなわち弱者にも役割又は出番が存在し、人間としての尊厳が確保される、「弱者の居場所のある社会」
の構築を目指すことが必要だというのが筆者の主張だ。
筆者が「あとがき」で自ら述べているように、その語り口は熱い。
筆者の前作『子どもの貧困』(岩波新書)は良著だったが、
本書も筆者の主張が全面に出されていて、その主張は説得力があり、良著だと思う。