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中山可穂さんの本を読むと、人を好きになることは、あまりにも純粋でまっすぐで、そこに身を投じてしまうことは、ものすごい恐怖だなと思う。相当な覚悟がいる。
でも、そんな風に誰かを愛したいといつも思う。
また胸が熱くなりました。
難病にかかった少年と、彼の治療にあたる医者の物語……「弱法師(よろぼし)」。
出版社の女性編集者と、彼女に捧げるために小説を書いていった作家の物語……「卒塔婆小町(そとばこまち)」。
薫子(かおるこ)おばさんとある人物との秘められし恋を、高校生の碧生(みどりお)の視点から描いた「浮舟(うきふね)」。
どの作品も読みごたえがあり、切なく、苦しい気持ちになりましたが、殊に「卒塔婆小町」の話にやられました。
「卒塔婆小町」は、落ち目の作家が墓地に来て、そこでホームレスの老婆と出会うところから話が始まります。そして作家は、おぞましい姿をしたこの老婆が並々ならぬ才能を持った編集者であったことを知り、彼女から“昔の恋の物語”を聞くことになります。天才的な作家に愛され、彼の愛に対して、作品を書かせるということで応えた編集者の物語を。
身を削りながら、精魂込めて小説を書いていく作家。彼が自分を命がけで愛していることを知りながら、編集者として距離を置いて接する彼女。悲劇的な愛の行方を予感させる話は、最初から最後まで、私の心を掴んで離さないものでした。
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