著者は言う。悪党対策に侍を雇う百姓がいたと。
十四世紀の百姓を貧しく哀れな存在と決め付けるのは
問題が多過ぎる。実態は侍を雇えるくらいには豊かで、
その程度にはこの時代の百姓たちはたくましく力強く
自立していた。(P6)
著者は言う。史実をもとにつくった小説であると。
称名寺文書を当代風に読み直して
新しい物語を作ってみようと試みた。(P6)
主人公は、吾輔(ごすけ)という百姓。
鍵となるのは、柿、風呂、弩(ど)という武器だ。
西洋のクロスボーに近いその武器は、
本の中盤過ぎに(P168)現れる。
人物の掘り下げが、やや浅く
幸運を前提とした展開に、少し戸惑う。
この題材は、小説よりも映画化したら活きるのではないか。
第二部の戦闘シーンは特にそう。
地形を使った戦略、時間との闘い、人の心の動揺は
小説の行間をかなり補足しないと(映像をイメージできないと)
臨場感を感じられない。
最後に裏表紙の略歴を見て納得した。
著者はNHKの脚本家だったのね。
どうりで、どうりで。