70年の返還前後の沖縄を舞台に、ベトナム帰還兵であふれかえる歓楽街での荒廃や人種対立、住民を踏みにじる強姦や轢き逃げといった米兵の犯罪、反基地闘争などの歴史事象を表に配置し、孤児として育てられ、アシバー(やくざ)の頭目として生きてきた裏社会の暗黒とニヒルなアンチヒーローたちの自己破滅的なテロへの共感を描いたハードボイルド小説。
CIAと反戦運動の二重スパイという背徳や、同じ孤児施設の幼なじみ同志の反発と嫉妬、疑心、ヒーローを慕う混血の美少女への恋情などが、漆黒の混沌を満たしていいた上巻から一転、下巻は、彼らを裏切ってきた世界への復讐の日に向かって突き進むように展開する。その過程で、混血の美少女高校生のむごたらしい死、その復讐、恋人の縊死、とヒーローたちを取り巻く世界への襲撃と彼ら自身の自壊が進行していく。同時にヒーローたちが見下していたうちなーんちゅ(沖縄人)たちが次第に覚醒し、高まっていく。そのすべてが爆発する終末は圧巻でしかも悲しく、そして再生への希望に満ちている。
大排気量のオートバイで駆けるようなスピードと重量感で一気に読み進んだ。