帯に「本作には壮大な仕掛けがある」とワザワザ断り書きがある。何故このような事を明示するのか本当に理解に苦しむ。物語は、教え子との浮気が原因で疎遠になっていた妻に失踪された高校教師の辻の視点と、妻をラブホテルで殺害された汚職刑事の蛯原の視点とで書かれた章が交互に繰り返されるという構成になっている。そして、二人は協力関係になり、"弥勒像"をキッカケに「救いの御手」という宗教団体の関与を疑い、真相に迫ろうとするのだが...。
上述の通り、ワザワザ「仕掛け」と断っているからには、バリンジャー「消された時間」風のものだと予想したが、「当たらずと言えども遠からず」だった。「帯」の指示に従って、「**」に注意していたら、冒頭で狙いが分かってしまった。せっかくコンパクトなサスペンスに纏まっているのに、「帯」のお蔭で興醒めな結果に終ってしまった。作者のせいと言うよりは、出版社のせいだろう。作者はこの「帯」に納得したのだろうか ? そうではないと思うが...。また、新興宗教団体についてはもっと深く描き込んだ方が、作品に厚みと不気味さを増すと言う意味で良かったと思う。