ショパン自身がその作品をどのように演奏したか、というのは録音もないので現在の私たちには知り得ない事です。
が、弟子たちの証言、ショパンが弟子の楽譜に書き込んだ注意、などから多く得るものがあります。リストが、「ショパンは弟子に恵まれなかった」と言ってますが、少なくとも、このような遺産を残してくれたことは宝に等しいと思います。英雄ポロネーズに関するところでは、ショパンは、中間部分の、遠くから砲弾の音と、行進がどんどん大きくなりながら近づいてくるくだりを表現していたる部分で、「今、あるピアニストの演奏を聴いてきたが、がっかりした。かなり速い弾き方をしていて、あれでは荘厳さがなくなってしまい、だいなしだ」とがっかりしていたそうです。
現在の弾き方では、ほとんどそのような速い演奏で、昨年ショパンコンクールで優勝したブレハッチも同様でした。
それを聞いて、もしショパンが生きていたら、何と言っただろうか、と思いました。その意味で面白いと思います。
そういった発見が、この本にはあります。当然、全曲の解説はありません。この本は、読み物として通して読み楽しむ類ではなく、ショパンを演奏する上で、その作品をどのように弾くべきかのヒントになり、作曲者の意図を忠実に再現しようという時、初めて大きく役にたつのでは、と思います。直筆の、楽譜への書き込み写真も多数掲載。お勧めします。