派手なピンクの荘重が目を引きますが、不動産投資書の派生本のひとつで
「建物の建築費もしくは修繕の費用の削減」をテーマに絞って書かれています。
なので読者対象としては、
・これから持っている土地にマンションやアパートを建築しようと考えている地主
・既に物件を持たれていて、今後に所有物件に大規模な修繕やリフォームが発生すると思われている大家さん
ですね。
まず他業界に比して「建設業界(不動産業界)は不透明で、その価格が適正なものなのかを一般のユーザーが判断する指標がなかなかない」ことを著者は指摘しています。
そのため無駄な建設費を支払ってアパマンを建設して収益性を悪くして自らの首を絞める結果を招いている大家さんが多い。
建築費が高くなっても家賃がその分高く取れるわけではないので、建築費のムダをいかにして削減していくかで利回り20%を出すことも夢ではないとのこと。
まず業者に建築の見積もりを依頼しても「全く異なる金額が出てくる」のは
・支払いの条件や経営状態によって業者の部材の仕入れ値が変わってくる点
・業者によって見積もりに乗っかる利益率が全く異なるため
・地域よって使用する部材が変化するため(そのため日本全国どこでも同じ建物は無理の模様)
こういった理由で数百万円単位で異なる見積もりが出揃うことになり、それを担保にする金融機関も当然
「建物の正しい価値を判断できず、結局のところ購入価格や建設費用が=その物件の担保価値を判断する基準」ということがまかり通ります。
しかも「相見積もりを取っていても、同じ間取り・仕様で統一していない」ので、相見積もりした意味が全くない場合が多い。
業者が値引きしてくれて喜ぶのも早いようです。だって値引き分で「安い部材を使われて完成した物件のランクが下がる」ようでは結局のところ損するのはオーナー。
そんな値引きをしてもらって喜んでいてはならないのです。
結局のところ、建築費や修繕費用を安くさせる(あくまで仕事のランクは落とさないことが前提で)には大局的な視点では
「オーナーが自ら積極的に計画に初期段階から加わって動くこと」しかないようです。要は大家さんが常に主導権を握っていること。
それを前提として具体的には
・部材を安く仕入れる
・工期を短くして人件費をカットする
この2点しかないそうです。
さらに建物の「設計」と「施工」とを分けて全く関連性のない会社に依頼します。
両者の間に「下請け」や「紹介」などの関係があると裏でお金のやり取り(紹介料等)があって悪い意味での「癒着」が発生します。
さらに「施工」と「流通(部材の確保)」も別にします。施工会社には建築に集中させることで利益を出すには「工期を短くするしかない」と認識させるのです。
さらにコスト削減の6つのルールとして
1.平面図・立面図の凹凸を減らす
→土地の形状にもよるが、凹凸のない建物を建てればコストは減ります。
2.出来るだけシンプルに
→部屋の間取り・構造を全部屋で統一したほうが安くなります。
3.ピッチ・スパンを意識する
→空間を大きく取ろうとすると、それを支えるための構造材も多くなる。
4.水回りを集中した設計にする
→お風呂・トイレ・洗面所・キッチンの位置を可能な限りまとめる。
5.造作工事を可能な限り減らす
→可能な限り「既製品」を使用する。
6.工種を増やさない
→塗装・左官も可能な限りは入れない。
業者との打ち合わせ回数が増えれば増えるほどにその分の時間的なコストも乗っかる見積もりが出てくる。
だから任せるところはしっかりとプロに任せていくことも大切だそうです。
後半は「新築する場合」と「リフォーム・修繕する場合」とに分けて過程をシュミレーションしていきます。
巻末では建築費・リフォーム費の削減に成功した大家さんのインタビュー&業者との対談を収録しています。
最近、リフォーム等の費用を安く抑えるために「大家さん自らがリフォーム作業に取り組む」実例も増えています。
実際、リフォームというだけで尻込みしてしまう大家さんが多いようですが、まずはやってみることが重要だそうです。
最近は近くのホームセンターでもリフォームの材料が揃い、素人でも取り組むには優しい環境。
「プラモデルを作ってみる感覚」でやってみるとよいようです。
慣れてくれば「リフォーム費用のほとんどが実は人件費」であることも実感として判るそうです。
「習うよりも慣れろ」という世界です。
まとめとしては「いかに大家さん自身が積極的に動けるか?」が鍵ですね。
オーナーが熱意を持って積極的に課題に取り組めばコストは減らしていけるし、それは結局のところ「経営の安定」へと繋がるわけです。
「ノウハウを体得すれば武器になる」と考えて取り組んでみましょう。