~ 日本推理作家協会賞やサントリー学芸賞などを受賞した著者による「建築とは何か?」と熱く語りかける建築入門書。建築専門家にありがちな抽象語の羅列によって煙に巻くように論を語るのでなく、かといって分かりやすさに重点をおくばかりに単純で味気ない内容になってしまうこともない。平滑な言葉ながらも本質を鋭く捉え、かつ心に響く文章の連続は文芸家ならではのもの。芸大出身の著者自身による楽しげなレイアウトの効果と相まって、ページをめくるのが楽しみで止まらない。建築をこれから学ぼうとする人、あるいは学ぼうとしなくても建築に興味のある一般の人、はたまたそうでないどんな人にも自信を持って推薦できる書である。なぜなら建築とは専門領域ではなく、生きている限りどの人にもかかわり合ってくることなのだから。