70年代初めといえば学生運動が続き、大学に行けば、「なぜおまえは生きているんだ?」と詰問された時代だ。イデオロギーがいたるところに氾濫し、建築もその延長線上に存在していた。「建築とは制度的な存在である」ということは当時、当然のことであった。そして彼らがこれから建築を学ぼうとするときに、磯崎新が「建築の解体」を宣言する。それは「建築の終わり」ということなのか…。
建築談義はお互いの卒業設計を講評しあうところから始まる。さらに建築教育を受ける前に気になっていた建物、学生のときに気になっていたイデオロギー、初めての海外旅行の行き先と、話が進む。「ギャラリー間」で開かれた連続講演会に参加した多くの若い人々に、身近なテーマを提供しつつ、自分たちが学んできた時代性、そこで思考された「建築」の有り様が3者3様に語られる。
建築をファッショナブルに扱う一般誌はどんどん増え、写真映りがよく、しゃれた建築がもてはやされる一方で、建築がどんどん消費される…。そんなシステムが始動してしまっている今に対し、3人は「恐怖感というか抵抗感」を示し、捨てられたカードをもう一度みつめなおそうとする。それはワールドトレードセンターの9.11でイデオロギーの対立が露呈されたように、「そんなに簡単に社会の構造性は変わらない」からだ。
90年代に建築を学んだ2人の建築家が座談会の内容を補足する形で、時代背景を説明するパラレルテキストで読者の理解を深める。タイトルとなった「建築の終わり」はあらたな建築の始まりも意味する。3人の思いは果たして若い聴衆に伝わったのか。3人の建築家の現状認識と、これから向かう建築的世界の展望がふんだんに盛り込まれた1冊だ。(中谷俊治)
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